消えない死別の悲しみ 「せめてもの救い」を抱いて生きていくには

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聞き手・河合真美江
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 亡き人や先祖への思いがより深まる、お盆のころ。あらためて、大切な人との死別による悲しみにどう向き合ったらいいのか。「増補版 悲嘆学入門」(昭和堂)を6月に出した関西学院大教授で「悲嘆と死別の研究センター」の坂口幸弘センター長(48)にお話を聞きました。

 ――死別の体験について読者のみなさんのお便りをもとに取材する「喪の旅」を昨年から続けています。この投稿からは共通した遺族の気持ちが読みとれます。自責の念や悔い、罪悪感、一方で亡き人が見守ってくれているという感覚です。

 「阪神大震災から20年を前に、関西学院大人間福祉学部と朝日新聞社で遺族調査(2014年、127人回答)をしました。強く印象に残ったのが、20年たっても遺族には罪悪感があるということです。特に子どもを亡くされた場合、生き残ったことに罪の意識を感じる罪悪感をほとんどの親御さんが感じていた。亡くした家族を『恋しく、いとおしく感じる』も半数以上でした」

 「悲しみは完全には消えないということですね。多くの人たちは20年間、そういう思いを抱えながら日常を過ごしてきた。つまり、遺族への支援であるグリーフケアの目標は悲しみをゼロにすることではない。そういった思いを抱えつつ、どう生きていくかという遺族の歩みに寄り添うことがグリーフケアなのです」

 「ホスピスで調査した時は、遺族の9割ほどが『心残りがある』と答えました。比較的おだやかな最期であっても心残りはあるんですね」

 ――どうしたら心残りや罪悪感を少なくできるのでしょうか。

 「多くの遺族は故人が亡くなる前のことを何度も思い返します。その時、自分の言動や判断を否定的に評価すると、しなかったことやしてしまったことへの罪の意識になる。一方で、これはよかったと肯定的に思えることがあると気持ちが少し楽になります」

 「つらい闘病生活だったけど最期は苦しまなかった。スタッフがよくしてくれた。家に連れて帰ることができた。好きな物を食べさせられた。自分たちでできる限りお世話した……。そういう肯定的評価ができると、心残りがなくなるわけではないけれど、心の救いになります」

グリーフケアは亡くなる前から始まる

 「つまり、亡くなるまでの過…

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