好走塁の横浜・鉾丸、脇役として生きる道 「一般入部」で登録選手へ
第104回全国高校野球選手権大会第4日の9日、横浜は三重との投手戦を4―2で制し、2回戦に進出した。大会第9日の14日、第1試合で春夏連続出場の聖光学院(福島)と対戦する。
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両者無得点で迎えた三回裏。四球で出塁した横浜の鉾丸(ほこまる)蒼太選手(3年)が、相手のバッテリーのすきをついて二塁へ走った。三重の投手が暴投したのを確認し、「捕手が(ボールを)追っている姿を見ていけると思った」。自慢の俊足を飛ばして、そのまま三塁まで到達。その後に緒方漣選手(2年)が右中間への適時二塁打を放ち、悠々と先制の本塁を踏んだ。
鉾丸選手は横浜の登録選手では唯一、スポーツ推薦ではなく「一般入部」。横浜の試合を観戦し、「自分のようなタイプがいない」と思い、入学を決めた。
身長168センチ、体重65キロと小柄な体格。派手さはないが、「バントも含めた小技やいやらしさが僕の生きる道」と脇役としてのプレーを心がけてきた。
この試合でも、先制点につながった三回で「いやらしさ」を見せた。打席で2ボールとなると、打席に立つ位置を前に変え、投手が投げづらくなる状況をつくった。「小さな工夫が四球を生んだと思います」。もちろん走塁も鍛えてきた。「高校のグラウンドでも練習していること。成果が出てよかった」
中学時代から名をはせる主役級が集まる強豪校で、はい上がってきた鉾丸選手を村田浩明監督も「努力して努力して出てきた。本当にいい動きをしてくれた」とたたえた。
いぶし銀の名脇役は勝利を喜びつつ、引き締まった表情で次戦を見据えた。「次も積極的に攻めていきたい」(土居恭子)
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