おかえり駐在さん 福岡県警初、30年ぶり2度目の赴任は「恩返し」

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板倉大地
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 北九州八幡東区の山あいにある福岡県警八幡東署河内駐在所。勤務する米今(よねいま)広一警部補(60)は、来年3月末で定年退職を迎える予定だ。警察官として残りの時間をどう過ごすかを考え、若手警察官だった頃の思い出が詰まったこの地域に「恩返しがしたい」と、二度目の勤務を希望した。同じ駐在所への再赴任は、県警では初めてのことだという。

 「30年ぶりに戻ってきました」

 2020年春、米今さんが家々を回って照れくさそうにあいさつをすると、なじみの住民が「よく戻ってきてくれたね」「お互いに老けたね」と歓迎した。

 一度目の河内駐在所への赴任は1989年春。まだ20代だった。妻と生まれたばかりの長女を車に乗せ、新たな住まいに向かった。

 市街地を外れて上り坂にさしかかると、道路は次第に木々に覆われ、曲がり道が増えてくる。しばらくして、後部座席からグスグスと音がした。「どうしたの」。妻に尋ねると、「寂しくなってきた」と涙をぬぐっていた。知り合いのいない新天地。募る不安とは対照的に、目の前に広がる貯水池に沿って並ぶ桜並木が美しかった。

 米今さんは当時、口べたなこ…

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