子ども用バットをサブスク提供 「お金で飛距離買う」に抗う個人店主

阿久沢悦子
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 どんなバットが自分に合うのだろう。それがなかなか分からないのに、値段が1本4万~5万円もする。もし子どもが野球を始めようとするならば、親は尻込みしてしまいそうな値段だ。

 そんな心配を解消しようと、バットのレンタルサブスクリプション定額制)サービスを作ったスポーツ用品店がある。千葉県鎌ケ谷市の「超野球専門店CV」が3年前に始めた。

開発競争が価格高騰を生む

 サービスの名前は「バッターズボックス」。価格は月2500~6千円で、この額を支払えば、さまざまなバットを試すことができる。支払総額が販売額に達すれば、買い取ることもできる。常時約100人が登録し、これまで、のべ2千人以上が利用した。

 きっかけは、来客者の声だった。「近ごろのバット、高いよね」。そんな声が、店長の中村勇太さん(35)に寄せられ、考え始めた。

 軟式野球で使うバットは20年前、球が当たる芯の部分の素材に弾力のあるポリウレタンを使用するものが開発された。高反発の素材で今まで以上に打球が飛ぶ。

 「バットの性能が向上し、打球の飛距離をお金で買う時代になった。初心者ほど差が出ます」と中村さん。各メーカーの開発競争となり、それとともに価格も上昇。10年前と比べて約2万~3万円も上がり、1本4万~5万円になった。

少年野球用は月2500円

 野球を始める子どもが自分に合った高性能のバットを振って、気持ちよくボールが飛べば、きっと野球を好きになってくれる。そんな思いから、気兼ねなくバットを試せるように、と少年野球のバットは月2500円を基本にしたという。

 破損後の取り換えやグリップテープの巻き替えにも応じている。実際に何本も試すのは近隣の人で、全国からのオンラインでの注文は大半が買い取り利用だという。

 「子どもは成長に合わせて、バットの長さや重さも変えた方がいい。大事な試合の前にバットを借りて、終わったら返却する人もいます」

 中古品を店が買い取り、補修して貸し出すサービスもある。子どもに限らず、草野球を楽しむ中高年が「お小遣いの範囲で」とこのサブスクサービスを利用することもあるという。

 バットとともに、グラブの価格も上昇傾向にあり、現在の相場は一つ6万~7万円。だが、グラブは手になじむかどうかで、同じ年齢、体格の子どもでも差がある。そのため、サブスクや中古買い取りが難しく、グラブはバットのようなサービスができないのが現状だ。

 用具の高騰を受け、「お金がなくて野球を始められない、続けられない」という声は高まっている。そう、中村さんは感じている。

 「スポーツは元々貴族の遊び。でも、日本では部活を中心に広がり、誰でも参加できるように、というのが理想だ。このギャップが、どこまで支援するかの判断を難しくしている。バットのサブスクが一つの突破口になれば」

 低迷する野球人口の裾野を広げるためにも、用具業界を巻き込んだ取り組みが必要だと感じている。(阿久沢悦子)