「サファリパーク」で培われた自主性 聖望学園のエース岡部の修正力
(10日、第104回全国高校野球選手権大会1回戦 聖望学園8-2能代松陽)
球がうわずっている。
聖望学園の岡本幹成監督は、エース岡部大輝の立ち上がりの投球を見て、そう感じていた。
捕手の江口生馬に確認して「大丈夫です」との返事があると、岡部本人には伝えなかった。「埼玉大会の後半から、調整も含めてバッテリーに任せていたので。大人が言うより、選手たちでしっかり話し合いながらやってきたから」
実は、岡部自身も同じことを感じていた。「球が浮いていたけど、打ってきてくれて助かった」。このままではいけない。そこで考えた。「マウンドの硬さが思っていたのと違ったので、ゆっくり足をつくようにした」。しっかり踏みしめることを意識した結果、直球、変化球ともに低めへの制球が安定した。
聖望学園のモットーは、「けじめある自由」。2008年に第80回記念選抜大会で準優勝したとき、岡本監督はその真意を、柵はあるが、そのなかでは自由に動ける「サファリパーク」に例えていた。基本的には選手の自主性に任せ、直接指導するのは最後の手段、という意味だ。
指示されるのではなく、自分で課題を見つけ、解決できたから、自然と勢いづいた。五回を終わって、許した安打は0。六回、先頭打者を打ち取った後に、2連打と四球で満塁とされてから、2点適時打を喫してしまう。「五回はちょっと自分のなかでは(ノーヒットノーランへの意識が)少しあって。次の回に打たれてしまった」と悔しがった。
埼玉大会決勝では、今春の選抜大会ベスト4の浦和学院を完封した。この日は110球での完投勝利でも、「自分の投球が、後半ぶれてしまった。浦学戦の投球ができなかった」と満足しない。次の相手は、大阪桐蔭。さらにギアを上げ、王者に立ち向かう。(山下弘展)
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