「災害調査は単なる仕事の一つ」その考えが吹き飛んだ忘れられぬ光景

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佐々木凌
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 豪雨や台風、地震や火山噴火……。全国各地で起きる自然災害。その実態をつかむため、発生直後の現場では、多くの研究者たちが活動している。どんな災害だったかを明らかにして復興に役立て、教訓を後世に伝えるためだ。

 あらかじめ河川、地盤などの専門ごとに、現地に行く会員のリストをつくっているのは土木学会だ。2011年3月の東日本大震災では、発災から1年以内だけで67の調査団を派遣し、津波の痕跡などを調べた。

 調査後は、報告会をできる限り早く開く。会員には技術者も多く、現場での復旧工事や対策などにすぐに役立てることが狙いだ。

 長年、学会の調査に携わってきた東京大の小長井一男名誉教授(69)=地震・地盤工学=は「災害は繰り返す。得られた知見を会内で共有し、引き継ぐことが大切」と話す。

「今後の教訓を見つける機会」

 15年5月29日に起きた鹿児島県口永良部(くちのえらぶ)島の噴火では、防災科学技術研究所の長井雅史研究員(47)=火山地質学=らが調査に向かった。口永良部島に渡れなかったため、東に約12キロ離れた屋久島に降った火山灰を翌30日に調べた。

 火山灰を回収しつつ、量や分布を調査する。噴火で出た火山灰の量全体を推定し、噴火のメカニズムの解明につなげる。

 だが、火山灰は雨が降ると流れてしまうため、すぐに調べないと精密な推定ができない。また、火山ガスの成分など現場で測定しないと得られない情報もある。

 長井さんは「分からないまま終わることもあるが、すぐに現場に行ってサンプルやデータを取らなければ、今後の教訓を見つける機会を失ってしまうことになる」と話す。

災害調査は「単なる仕事の一つ」と考えていた研究者もいます。災害の現場で見たあるものが、原動力につながっています。

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