「ペロシ・ショック」はこうして起きた 訪台直前、米中緊迫の舞台裏

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ワシントン=清宮涼、望月洋嗣、北京=林望
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 8月2日、現地時間の午後10時30分ごろ、台北・松山空港の上空に小さな明かりが浮かび上がった。光は徐々に輪郭を広げながら、ゆっくりと高度を下げてくる。

 10時44分、尾翼に星条旗をあしらった米軍の輸送機が真っ暗な空港に着陸した。鮮やかなピンク色のスーツ姿でタラップから降りてきたのは、米下院議長のナンシー・ペロシ氏だ。中国の政府や軍が「決して座視しない」と警告を続けるなか、下院議長として25年ぶりとなる台湾訪問を決行した。一触即発の緊張感は、ペロシ氏を乗せた米軍機の航路を示すアプリの閲覧者が数十万人に上ったことにも表れていた。

 ペロシ氏が台湾の土を踏むやいなや、中国は外務省、国防省など五つの機関が一斉に抗議の声明を出し、過去に例のない規模の軍事演習を予告した。1990年代半ばの「第3次台湾海峡危機」以来、かろうじて保たれてきた米中台の「ステータス・クオ(現状)」が大きくぐらつき始めた瞬間だった。

 経緯を知る中国側関係者は、中国に事態の深刻さを認識させたのは、7月中旬の「ある報道」だったと明かす。

2時間17分の攻防

 日本を含む北東アジアや世界…

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    佐橋亮
    (東京大学東洋文化研究所准教授)
    2022年8月12日16時10分 投稿
    【視点】

    現時点でペロシ議長訪台に関する事情を把握できる情報をまとめた良記事。バイデン政権がハンドリングを誤ったという批判はそれなりに強いものです。その後、訪台を止められない中で「ダメージコントロール」に徹したという見方もその通りです。 アメリ

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    江藤名保子
    (学習院大学法学部教授=現代中国政治)
    2022年8月12日12時28分 投稿
    【視点】

    ペロシ訪台の裏側で進んだ米中間の緊張感あるやり取りが伝わる、惹きつけられる記事でした。中国側が7月のバイデン大統領と習主席の電話協議を取りやめなかったことは、バイデン政権に最後通牒を突き付けるような行動は避け、対話の窓口を維持したということ