聖望学園の大橋、好守の裏に名コーチあり 7つ上の姉がみっちり指導

仙道洸
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 (10日、第104回全国高校野球選手権大会1回戦 聖望学園8―2能代松陽)

 聖望学園のしぶとい野球は、甲子園でも健在だった。10日、第104回全国高校野球選手権大会第5日の第2試合で能代松陽(秋田)に8―2で快勝し、埼玉県勢で4年ぶりに初戦を突破した。16安打のうち15安打は単打でしぶとくつなぎ、小刻みに加点。エースの岡部大輝(3年)は堅守に支えられ、五回まで無安打に抑えた。

 聖望学園は19年ぶりの夏の甲子園勝利。2回戦は日程が順調に進めば14日(大会第9日)で、第3試合で今春の選抜大会を制した大阪桐蔭と顔を合わせる。

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 ピンチの芽を摘み取る大きなプレーだった。

 聖望学園が1点を先制しした直後の三回表、1死一塁。相手は2球目でヒットエンドランを仕掛けてきた。

 遊撃手の大橋優人(3年)は、一塁走者がスタートを切っているのが見えた。二塁に向かおうと足を向けた時、鋭い打球が遊撃方面に飛んできた。

 逆を突かれそうになったが、とっさに足が動いた。体勢を崩しながら捕球し、一塁に送球。抜ければ相手に好機を与えてしまう場面で、遊ゴロに仕留めた。

 鋭い出足は、姉の未来さん(25)と続けた練習のたまものだ。「前日の夜に、姉に『いつも以上に楽しんで、足を動かしていけ』と言われた。それを体現できた」。試合後、大橋は笑顔で話した。

 未来さんはクラブチームで二塁手だった。クラブの大会で甲子園の土を踏んだこともある。七つ年下の弟が同じクラブチームに入ると、コーチとして守備の基本を教えた。

 当時、弟も同じ二塁手。グラブさばきが硬く「正直、大丈夫かなと思うこともあった」。ただ足は速かった。常に「足を動かせ」と助言。守備位置を後ろに取り、相手の打球に応じて素早く一歩目を踏み出す動きを体に覚えさせた。「つきっきりで教えた」と未来さんは言う。

 自宅でもまた割りをしたり、2人でゴロをさばく姿勢を練習したりしていた。高校に入っても、たまに守備の動画とともに「どこが悪いか教えて」とメッセージが届くこともあったという。

 エースの岡部は打たせてとる投球。四回はすべての打球を大橋が処理して三者凡退にするなど、27個のアウトのうち13個に絡んだ。岡部も「難しい打球でも簡単にさばいてくれるので、安心して打たせることができる」と振り返った。

 試合後、大橋は真っ先に未来さんに連絡した。未来さんは「後ろ(の守備位置)にいながら、足も動かしていた。もう言うことはない」。甲子園で成長を見せた弟をたたえた。(仙道洸)