鹿児島実の捕手浜崎、エースの武器生かす配球 強力打線を翻弄

仙崎信一
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(10日、全国高校野球選手権大会2回戦 鹿児島実1―2明秀日立)

 強打の明秀日立にどう立ち向かうか。鹿児島実の左腕、赤崎智哉投手(3年)の武器である「スライダーを生かす配球をする」。浜崎綜馬捕手(3年)は、そう決めていた。

 茨城大会のチーム打率は4割4厘、本塁打6本という強力打線。真っすぐに強いと見て、外側を中心とした配球を心がけた。

 序盤、打ち気にくるところを変化球でかわした。スライダーでカウントを整え、左打者には外に逃げるスライダー、右打者には外に抜いたチェンジアップを効果的に投げ分けさせた。

 赤崎投手とは中学生時代、同じ野球チーム「串木野ドリームズ」でプレーした気心が知れた仲。本職は外野手で、バッテリーを組んだのは今年のNHK旗県選抜が終わってからだ。

 「赤崎の鋭いスライダーをそらさないように」と、コーチにテニスボールを投げてもらい、ワンバウンドを止める練習を繰り返した。この日も「低めに投げろ」と言い続け、何度もワンバウンドの球があったが後ろにはそらさなかった。

 試合は三回、三つの四球で満塁とすると、浜崎選手が四球を選んで1点を先制。「ロースコアのゲームに」と宮下正一監督が思い描いたように、鹿児島実ペースで進んだ。

 「相手打線が合ってきた」六回からは直球主体の配球に切り替え。2死から6番打者にあわや本塁打という大ファウルを打たれたが、外の直球で空振り三振に仕留めると、拳を何度も握りしめた。

 緊迫した1―0の展開。浜崎捕手が悔やんだのが七回の投球だ。1死から高めのチェンジアップを安打され、連打を許して同点に追い付かれた。「甘く浮いた球をうまく打たれてしまった」

 八回に安打と失策で勝ち越し点を許した際は「エースとして粘ってくれ」と赤崎投手に伝え、最少失点で切り抜けた。

 結果は敗れたが、「赤崎はよく投げてくれた。120点の投球。悔しいが、鹿児島大会から赤崎と一緒に成長できたと思う」。

 被安打はわずか6本。投手を中心に粘り強く戦う。そんな、今年の鹿実らしさは甲子園でも発揮できた。(仙崎信一)

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