北九州市の旦過市場付近で再び火災 4月の大規模火災から復興途上

【動画】北九州市の旦過市場付近で再び火災=住民提供
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 10日午後8時55分ごろ、北九州小倉北区の飲食店から「天ぷら油に火がついた」と119番通報があった。市消防局などによると、木造店舗が密集する旦過(たんが)市場北側の一角で炎や煙が上がり、11日午前0時半時点で市場南側へ延焼が続いている。けが人の情報はないという。市場では4月にも大規模火災が発生し、復旧が進められていた。

 炎が上がったのは、4月に焼失した商店街地区近くの老舗映画館「小倉昭和館」付近とみられる。

 市場内のラーメン店で食事をしていた30代のパート従業員女性によると、「火災に気づいて外に出たら、前回火災で焼け残った建物の近くから火が出ていた」。当初は消火器で消せそうな火の大きさだったが、パチパチという音とともに、建物へ煙が一気に広がっていった。慌てて119番通報し、そのまま避難したという。「また火災が起きて怖い」と話した。

 火災現場近くのアパートに住む男性(34)は、「気づいたら激しい炎があがっており、急いで逃げた」。今回は4月の火災時より密接した場所だといい、「何が何だかわからない」と困惑していた。

 市場近くで飲食店を経営する50代の男性によると、火柱が近くの10階建てのマンションよりも高く上がり、店に火の粉が飛んできたという。

 バー店主の男性(30)は午後9時50分ごろ、店のすぐ裏手まで火が迫る中、警察官から、客と一緒に店外への避難を求められた。店主によると「前に火災が起きたところの近くで火が出た。すぐに空が真っ赤になって煙のにおいが立ちこめた」という。「この前火事があったばかりなので、『またか』と驚いた」と語った。

 「小倉昭和館」は1939年創業。館主・樋口智巳さん(62)によると、出火時は営業を終えており、スタッフが清掃中だった。駆けつけた樋口さんの目の前で映画館が炎に包まれていったという。「やっとがれきの撤去が終わってこれからというときに、なぜ……」。館内には貴重なフィルムや高額な機材があるといい、「各所に迷惑がかからないようにするしかない」と言葉を詰まらせた。

 近くで飲食店を経営する男性(78)によると、入店した客から「煙が出ているよ」と聞き、火災に気づいた。市場内のスーパーで勤務していた70代女性は「煙がすごく、何も持たずに逃げてきた」と話し、消火の様子を心配そうに見守っていた。

 北九州市建設局神嶽(かんたけ)川旦過地区整備室の赤尾英司係長は帰宅中に消防車のサイレン音を聞いて現地に向かい、建物が燃えているのを目撃した。4月に続いての火災に、赤尾係長は「信じられないが、情報収集に努めたい」と声を落とした。

 市場は100年以上の歴史があり、飲食店や食料品店など100店舗以上が密集。「北九州の台所」と呼ばれて市民に親しまれたが、4月19日未明の火災で約40店舗が被災し、約2千平方メートルが焼失した。5月中旬に立ち入り規制が全面解除され、復旧の途中だった。