上田淳子さんが作る豚肉の軽い煮込み フランスの思い出とともに

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 料理研究家の上田淳子さん(58)は料理が好きで、短大の家政科を卒業後、調理師学校で西洋料理を学びました。フランス料理に興味をもったのは「どうやって作られているかわからなかったから」と言います。

 パテもテリーヌもすごくおいしいけれど、どんなふうに作られているんだろう。不思議に思っても、いまのようにインターネットで検索すれば作り方が出てくる時代ではありませんでした。興味はさらにふくらみ、卒業した調理師学校の職員を経て、現場を見ようと海外に飛び出します。20代半ばから後半にかけての3年間、スイスとフランスで働きました。修業先の1軒が、フランスの小さなシャルキュトリーでした。

 シャルキュトリーは豚を主な原料とした食肉加工品を指す言葉で、そうした加工品を売る店のことも言います。豚を1頭あるいは半身で仕入れてさばき、肉として売るほか、さばいたときに出る細かい肉や内臓、血液はソーセージやパテ、テリーヌに加工します。

 年配の夫婦と娘の3人で切り盛りする小さな店で、そうした加工の過程を体験しました。骨の周りに残った肉をかきとるようにしてミンチに混ぜたり、豚の鼻はサラダにしたり。

 「『おいしい』だけではなく、食べるからにはとことん丁寧に、無駄にせず食べる。日本人が魚を大事に食べるのと似ているかもしれません」

 シャルキュトリーには、豚肉料理に添えるマスタードやコルニション(小ぶりのキュウリのピクルス)も売られていました。そうしたシャルキュトリーで手に入るもので作る料理の一つが、「豚肉のシャルキュトリー風」です。

 豚肉を焼き、トマトを加えてさっと煮るだけですが、マスタードやコルニションの酸味と塩味が加わることで、短時間でも深い味わいの一品ができあがります。(構成・沼田千賀子)

 うえだ・じゅんこ 1964年、兵庫県生まれ。辻学園調理技術専門学校で学ぶ。近著に「フランス人はたくさん仕込んで3度愉しむ。」(誠文堂新光社)。

豚肉のシャルキュトリー風

【主な材料・2人前】 豚肉ロースステーキ用2枚、小麦粉適量、油大さじ2、白ワイン1/3カップ、トマト2個(300g)、タマネギ1/2個、コルニション(小ぶりのキュウリのピクルス)4~6本、マスタード大さじ1、バター8g

①タマネギはみじん切り、コルニションは輪切りに。トマトは湯むきをして種をとり、粗く刻む。豚肉は脂身と赤身の間の筋を包丁で切り、塩小さじ1/3とコショウ少々を両面にまぶす。小麦粉をまぶし余分な粉を落とす。

②フライパンを強めの中火にかけ、油を半量ひく。豚肉を並べて焼き色をつける。裏も同様に焼いて取り出す。

③フライパンの油をペーパータオルでふき、残りの油を入れて中火にかける。タマネギを加えて火を弱め、2分ほど炒める。ワインを加え半量になるまで煮詰め、トマトも加える。沸いたら弱めの中火にし、時々混ぜながら5分ほど煮て、塩・コショウ各少々で味を調える。

④③に豚肉を戻し、3分ほど煮る。マスタードとコルニションを加えてひと煮立ちさせ、仕上げにバターを加える。皿に盛り、好みでパセリのみじん切りを散らす。

1人前約580kcal、塩分2.5g(栄養計算:女子栄養大学栄養クリニック)