歴史的現場も、日常も 「ドキュメント72時間」が切り取った10年

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野城千穂
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 ある場所に丸3日間カメラを据え、行き交う人にマイクを向ける。そこで出会う思いがけない言葉を紡いできた「ドキュメント72時間」(NHK、金曜夜10時45分)は今年、レギュラー放送10年目を迎えた。シンプルな構成ながら、根強い人気を誇るのはなぜか。制作の舞台裏を聞いた。

 別れの春のバスターミナル、緊急事態宣言明けの公園、雪国の歓楽街……。一度カメラを回し始めたら、後戻りはできない。たとえ天候が急変して人足が途絶えても、72時間、撮影は続行する。「人が来なかったら、うまく逆手に取る。少しでも来るのであれば、それが一気に魅力になるケースもあります」。2年前から番組を担当する篠田洋祐チーフ・プロデューサー(43)は言う。

 2005年に単発で試験的に始まってから、断続的に放送を続け、13年春からレギュラー化。これまで何度もプロデューサーが代わったが、72時間の一期一会で物語を紡ぐという番組の基本は、脈々と受け継がれている。

現場の知識、「全部捨てて臨んで」

 「最初の頃は、事前にディレクターが現場に相当足を運んで、訪れる人にカメラ無しで話を聞いて、これなら番組になると判断したようです。今でこそ番組を見たことがある人が増えて取材しやすくなった側面もありますが、最初は『何だこれ、街頭インタビューよりもはるかに深掘りして聞いてくる』と思われ、ハードルがあったと思います」

 撮影した素材を編集するとき…

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    太田泉生
    (朝日新聞コンテンツ編成本部次長=人権)
    2022年8月13日12時36分 投稿
    【視点】

    「72時間」のロケ現場に出くわしたことがある。 横浜総局の記者だった5年以上前のこと。出勤のためロードバイクで国道16号を走っていたら、中区の曙町のあたりで、道路の反対側に救急車が止まっているのが目に入った。見ればテレビクルーの姿もある。