家も仕事も奪われ5年、見えない希望 隣国に追われた100万人の今

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大坪実佳子
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 ミャンマー国軍・治安部隊が2017年8月に少数派イスラム教徒ロヒンギャの掃討作戦を始め、大量の難民が隣国バングラデシュに流入して5年を迎える。

 累計100万人が滞留しているとされるが、帰還の見通しはまったく立っていない。

 17年から現地で支援活動をしてきた国際NGO「難民を助ける会(AAR Japan)」(東京)の職員で、今年6月にも難民キャンプを訪れた中坪央暁(ひろあき)さん(59)に現状を聞いた。

 ――中坪さんは17~19年、世界最大の難民キャンプがあるバングラデシュのコックスバザールに駐在した経験があるそうですね。

 コックスバザールでは、今もおよそ100万人が暮らしています。

 17年当時は、竹材とビニールの粗末なテントが見渡す限り広がって殺風景でした。

 今年6月に2年9カ月ぶりに訪れると、キャンプはインフラが整備され、まるで別の場所のように様変わりしていました。道路はれんがで舗装され、護岸や堤防もできていた。

 丘陵地を切り開いたキャンプは土砂崩れの危険性があったため、植樹が進められて木々もうっそうと茂っていました。キャンプ周辺の農村よりはるかに「街」らしく、「もうここにずっと住むんだな」という印象を受けました。

 市場もあり、とてもにぎわっていました。生魚や文具、衣服など何でも売っている。売り手も買い手も難民です。本来は、キャンプ内での商売は禁じられているのですが、バングラデシュ当局は黙認しています。公然と闇市場を開いているような状況です。

 キャンプを囲むようにフェンスや鉄条網がつくられ、バングラデシュ当局の武装警察隊が常駐するようになったのも大きな変化です。ロヒンギャ難民が「保護」の対象から、「監視」の対象になったことが読み取れます。

中坪さんは、ロヒンギャ難民の置かれている状況について「『何の希望もない』と言わざるを得ない」と語ります。そのわけは――。

 当初は同情的だったバングラ…

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