グラブに縫った「7・25」…海星の2枚看板、あの日から歩んだ道

三沢敦
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第104回全国高校野球選手権大会

 2度目の校歌が夢の舞台に響き渡った。海星は12日、天理(奈良)を4―2で破り、3回戦へ進んだ。序盤に安打を集めて流れをつかみ、向井、宮原の「二枚看板」の継投で反撃をかわした。次は大会第10日(15日)の第4試合で近江(滋賀)と戦う。

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 4―1で迎えた八回裏二死。向井恵理登君(3年)をピンチが襲った。

 それまで天理打線を5安打に抑える見事な投球。2人を打ち取った後、次打者に四球。見逃さなかった強豪・天理打線の連打を浴びて2点差に迫られた。

 その後も四球を与え、2死満塁に。加藤慶二監督に交代を告げられ、エースの宮原明弥君(同)にマウンドを譲った。「後は頼むぞ」。声をかけると、宮原君は力強くうなずいた。

 「二枚看板」の向井君と宮原君。2人には共通の「出発点」がある。大崎に敗れた昨夏の長崎大会準決勝だ。先発した向井君は六回まで無失点ながら足がつって降板。宮原君に後を託したが、甲子園の切符を阻まれた。

 あの悔しさを忘れまい――。2人はそろって「7・25」とその日の日付をグラブに縫い込んだ。

 教室でもグラウンドでも2人は大の仲良し。だが、夏の背番号が発表されるまでともに「1」にこだわってきた。最速147キロの速球で抑え込む宮原君とは異なり、くせのある球を左右に投げ分け、打たせて取るのが持ち味。「あいつに負けたくない」との思いが強かった。それでも、ピンチの時は互いに助け合い、長崎大会を勝ち抜いてきた。

 向井君の後を継いだ宮原君は初戦の日本文理戦に続き、この日も気迫の投球。140キロ台の速球に緩急をつけた変化球を織り交ぜ、コーナーを突く。最後の打者を空振り三振に仕留め、試合をしめくくった。

 直後のオンライン会見。向井君は「最後まで自分が投げたい気持ちもあったけれど、チームが勝つことが第一」と振り返り、こう言った。「宮原がいるから初回から飛ばせる。自分のピンチもカバーしてくれる。本当に心強い」(三沢敦)