ふだんは見られないトキ飼育の裏側公開 出雲市

杉山匡史
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 関西以西では唯一、国特別天然記念物・トキの飼育と繁殖に取り組む島根県出雲市の市トキ分散飼育センター(西新町2丁目)で7日、飼育現場の裏側を見るツアーがあった。昨年の試行を経て今夏から本格的に始めた。子どもたちが飼育員の案内で、普段は入れない場所を興味深そうに見て回った。

 トキは鳥インフルエンザ感染などによる絶滅の危険を避けるため、繁殖拠点の佐渡トキ保護センター(新潟県佐渡市)のほか、出雲など全国4カ所で分散飼育されている。出雲のセンターでは2011年から取り組み、昨年までに佐渡へ48羽が渡り、大半が自然界に放鳥された。今年も7羽が孵化(ふか)。他の10羽と共に飼育されて順調に育っている。

 ツアーは、こうした飼育や取り組みに理解を深めてもらおうと企画された。初回は2組の家族8人が参加。事務室でトキを監視するモニターを通して様子を見た後、作業室で馬肉やドジョウなどを使った、栄養価も意識した3種類の餌作りや、ドジョウしか食べないヒナには与え方を工夫していることなどの説明を受けた。

 その後、トキが暮らすケージエリアへ。臆病なトキを驚かさないよう飼育員がドアを数回ノックして合図を送り、「入るよ」と声を掛けた後に長靴を消毒液に浸して入った。にぎやかだった子どもらは姿勢を低くして「忍者」のように静かに歩き、エリア中央の垣根の間からヒナたちを観察した。

 出雲市立神西(じんざい)小学校4年の安部恭史(たかし)さん(9)は「間近で飛ぶ姿やくちばしが見られてよかった。色々なことが学べて、夏休みの自由研究にします」と話した。

 環境省は昨年6月、トキの放鳥を複数地域に広げる方針を決めた。出雲市は「トキの野生復帰を目指す里地」(A地域)の公募に申請。今月5日、飼育実績や自然環境などから放鳥できる要件を満たしていると評価され、石川県と能登地域9市町とともに放鳥地に選ばれた。出雲市は30年までの放鳥を目指している。

 市朱鷺(とき)のまち推進室の梶谷房生室長(56)は「出雲地域は商業地や観光地でありながら自然環境に恵まれている。将来、羽を広げて舞う朱鷺色の姿が見られる日を楽しみにしてほしい」。今後、子どもらにトキへの理解が深まる体験の機会を増やしていくという。

 トキの仲間への餌やり体験も9~11月に実施する。親子3組で先着順。空きがある11月20日分のみ受け付ける。問い合わせは推進室(0853・20・1350)へ。(杉山匡史)

 ◆トキの公開 出雲市トキ分散飼育センターではトキを公開し間近で観察できる。午前10時~午後4時半で火曜休館。隣接するしまね花の郷(さと)(入園料は大人200円、小学~高校生100円)から入館する。