米下院、インフレ抑制法案を可決、「米史上最大規模」の気候変動対策

ワシントン=合田禄
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 米下院は12日、気候変動対策や高齢者の医療費負担軽減、大企業の増税などを盛り込んだ「インフレ抑制法案」を賛成多数で可決した。与党民主党によると、これまでで「最大規模の気候変動対策への投資」になるという。すでに上院は通過していて、バイデン大統領が近く署名して成立する見込みだ。

 下院では賛成220票、反対207票だった。法案は4300億ドル(約57兆円)規模の投資を含む。このうち、約3700億ドルはエネルギー安全保障と気候変動対策で、風力や太陽光発電の製造体制の整備や、低中所得者のエコカー購入に税控除をする。

 石油やガスの開発への支援も含まれているが、米国の温室効果ガスを2030年までに05年比で約40%削減することになるという。この法案だけでは、バイデン政権が掲げる30年までに05年比で50~52%削減には届かないが、気候変動対策の大幅な前進となる見通しだ。

 米国の高齢者向け保険「メディケア」に加入している人の自己負担額の上限を年間2千ドルとするなどの、医療費負担の軽減策も盛り込まれている。

 一方、大企業へは最低税率15%を課す。巨大企業が税控除を活用することで、実際の税率が低くなっていることに対応する。法案全体では歳入増が財政支出を上回り、インフレ抑制につながるとしているが、その効果には疑問の声もある。

 米政権や与党民主党は昨年、気候変動対策や子育て支援などを盛り込んだ10年間で3・5兆ドル規模の社会福祉投資法案の成立を目指したが、規模を半減しても党内をまとめきれずに頓挫。今回の法案はさらに規模を縮小した形だ。(ワシントン=合田禄)