保育園のおやつの時間、亡くなった息子 母たちの思いが制度を変えた

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中井なつみ
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 愛知県碧南市の栗並えみさんは、12年前、1歳だった長男の寛也くんを保育園のおやつの時間の窒息事故により亡くした。

 出産後、復職してから4カ月ほどたったあの日。ようやく新たな生活も軌道に乗ってきたと思っていた矢先だった。

 「保育園で、子どもの命が失われてはいけない」。遺族になって痛感した、「保育園は子どもの健全な発達を保障する場所であるべきだ」という思いを、今も伝え続けている。

一度も意識が戻らないまま……

 「すぐに病院に行ってください」。保育園で楽しく過ごしているとばかり思っていた寛也くんの異変を知らせる電話がかかってきたのは、2010年の10月。

 「おやつをのどに詰まらせた」とだけ知らされ、詳しい状況も分からない。ただただ、「落ち着いて」と自分に言い聞かせ、車を走らせた。

 病院で対面した寛也くんは、送り届けた朝の姿とはかけ離れていた。洋服を着ておらず、おむつ1枚の姿だった寛也くん。焦点が合わない半開きの目に、「命に関わる状況になっている」という事実が、痛いほど突きつけられた。

 「お母さん、来たよ」。声が届いているのかも分からなかったが、とにかく安心させたい、と思った。好きだった「かえるの合唱」を耳元で歌った。

 寛也くんはその後、何度も危篤状態になったが、名前を呼ぶと心拍数が上昇し、持ち直すことが何度もあった。だが、事故から39日後。「寛也」と呼びかける声が響くなか、えみさんの腕の中で息を引き取った。一度も、意識を戻すことはなかった。

もう戻ってこない、でもせめて

 「あの日、何があったの?」

 搬送されてから39日。検査…

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