記者への殺害、過去最多を突破 命がけの「赤いノート」取材

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サンパウロ=軽部理人
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 ジャーナリストへの暴力が後を絶たないメキシコで8月上旬、男性記者が殺害される事件があった。今年に入って13人目で、国際人権団体の統計で過去最多となった。「言論が暴力で封じられる世の中はいつまで続くのか」。5月に殺害された女性記者の遺族はそう憤るが、状況が良くなる兆しはない。

 地元メディアによると、8月に殺された男性記者はエルネスト・メンデスさん。2日夜、メキシコ中部グアナファト州のサンルイスデラパスで、家族が経営するバーに武装集団が押し入り、メンデスさんを含む4人を射殺した。メンデスさんは、同州の政治や社会問題について報じるメディア「トゥ・ボス」(あなたの声)の編集責任者だった。メキシコ当局は数日後、22歳の男ら3人を殺人の疑いで逮捕した。

 メキシコでは、「ノタ・ロハ」(「赤いノート」の意)と呼ばれる、麻薬カルテルが絡んだ犯罪事件や警察の腐敗を取材するジャーナリストの殺害事件が後を絶たない。今年に入ってからは、すでに13人が死亡した。

 表現の自由を守る活動をする国際人権団体「アーティクル19」によると、メキシコでは2000年以降、150人超のジャーナリストが殺害された。06年に当時のカルデロン政権が始めた「麻薬戦争」以降、徐々に増えており、地元メディアによると行方不明のジャーナリストも多い。

 「アーティクル19」の統計によると、今年の13人は17年の12人を上回り過去最多になった。現時点では、13人中少なくとも9人が「赤いノート」関係の取材に関連して殺害されたとみられている。

 5月に殺されたジェセニア・モジネドさん(45)もその一人だ。兄のラミロ・ファルコンさん(60)は、朝日新聞助手の取材にこう語る。

 「彼女は立派なジャーナリストだった。彼女のことを誇りに思う一方で、事件を防げたかもしれないと思うととても悔しい」

女性記者、何度も脅迫にあっていたが……

 メキシコ中部ベラクルス州にある地元のネットメディアでディレクターを務めていたモジネドさんは5月9日、コンビニの駐車場で車内にいたところ、同僚と共に銃弾を十数発浴びて殺された。

 事件の予兆はあった。ファル…

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