「あれパパがやったんだよ」 4代目職人が受け継ぐ文化財修復の技

永井啓子
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 文化財の保存に欠かせない「選定保存技術」に美術工芸品の「表装漆塗(うるしぬり)」(呂色〈ろいろ〉塗)が選ばれ、京都市山科区の新木(しんき)郁雄さん(47)がその保持者に認定される見通しになった。国の文化審議会が7月22日に文部科学相に答申した。

 呂色塗は国の重要文化財のふすま絵やびょうぶなどの修理に用いられ、木枠部分に深いつやを出せるのが特徴だ。上塗り後に炭で表面を研いでたいらにして、生漆(きうるし)をすり込んで手で磨き上げる。

 認定されれば、この選定保存技術を保持する初の呂色塗職人となる。「これを機に漆塗りのことを世の中に知ってもらえれば」

 曽祖父の代から続く呂色塗職人の家に生まれ、19歳で父に師事した。最初は何もかもうまくいかなかったといい、「それがかえって面白くて、のめりこんだ」。数年前に父が引退し、4代目当主となった。

 二条城二之丸御殿障壁画(重文)や、大覚寺障壁画(同)をはじめ、関西を中心に全国から依頼が来る。

 「100%納得できたことはまだない。手がけたものが雑誌やテレビで紹介されたとき、『あれパパがやったんだよ』って言うと、子どもらが『わあっ』って。それが喜び」

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 文化審議会は、美術工芸品を保存する桐箱(きりばこ)を製作する小島登さん(71)=京都市山科区=と前田泰一さん(63)=同市左京区=についても、同技術の保持者に追加するよう答申した。(永井啓子)