二松学舎大付の4番は1年生 コミュ力抜群、監督の一言ですぐ本塁打

山田佳毅
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(14日、第104回全国高校野球選手権大会2回戦 二松学舎大付7-5社)

 大舞台で力を発揮する選手が持つ武器はさまざまだが、この夏、4番に抜擢(ばってき)された1年生のそれは、卓越した「コミュニケーション力」だ。

 二松学舎大付の片井海斗は、一回の好機で併殺打に倒れた後、市原勝人監督の言葉で目が覚めた。

 「お前の良さは、柔らかさだぞ」

 1回戦は無安打。この日も力んでいる自分に、この一言で気づいた。

 素振りでもティー打撃でも、手首を柔らかく使うのが自分の打撃。すぐに理解した。

 手首に込めていた力を、スッと抜いた。

 三回、すぐに挽回(ばんかい)した。

 3点を先取し、1死無走者で右打席へ。やや浮いた球を捉え、左中間スタンドにアーチをかけた。

 「今までで、一番いい感触で打てました」

 この夏前まで主軸だった背番号3の主将小林幸男は、自分の代わりに4番にしてほしいと監督に進言した。

 「自分より片井の方が乗っている。結果が良くなると思った。チームが勝つことが第一なので」

 ただ、打力の差だけが進言の理由ではない。

 「上級生にも気軽に話しかけてくれる。壁を感じない」と小林。

 「練習にまじめに取り組んでいて、いっさいサボらず、すごいなと思う」

 遠征先で先輩と同部屋になっても、大イビキをかいて豪快に眠る後輩を、前を打つ瀬谷大夢(ひろむ)は「明るくて頼れる存在」と信頼し、かわいがる。

 175センチ、97キロ。中学3年のころから腕っぷしが強く、当時の担任教師から腕相撲を挑まれたこともある。

 その頃、晩ご飯で2合食べた白米の量はいま、3~4合に達した。

 「力はありますねえ」

 母親の靖代さんはそう笑う。

 五回の適時二塁打は、伸びやかだった本塁打から一転、火を噴くような打球が中堅手の頭上を破っていった。

 元々、右方向に逆らわずに打つタイプ。こちらが本来の、力を発揮した打撃だった。

 二塁ベース上で誇らしげに、ちょっと控えめに、上級生たちが喜ぶベンチに向かって右手を挙げた。(山田佳毅)