走りに走った愛工大名電、選手が狙って自己判断 監督「練習以上」

堀川貴弘
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(15日、全国高校野球選手権大会3回戦 明豊2-5愛工大名電)

 砂塵(さじん)を巻き上げて愛工大名電の選手たちが走る、走る。積極走塁が41年ぶりの8強進出をもたらした。

 一回、四球で出塁した2番大森瑛斗が、続く伊藤基佑の左前安打で一気に三塁へ。4番山田空暉の左犠飛であっさり先取点を奪う。大森は「レフトが深く守っていたので三塁を狙った。三塁コーチャーは手を回していなかったが、自分の判断で行きました」と振り返った。

 1点差に迫られた直後の四回は、二塁内野安打で出塁した6番市橋昂士が走りまくった。続く美濃十飛の2球目に二盗を決め、中飛でタッチアップして三塁へ。石見の中前安打で悠々の生還だ。

 さわやかな風のような走りっぷり。点差は再び2点に開いた。

 二盗はちょっとタイミングを遅らせてスタートした。「相手投手は牽制(けんせい)がうまいと感じたのでディレード気味に走りました。自分の判断です」と市橋。

 五回にも二塁走者の伊藤が三塁へディレードスチールを仕掛け、ちょうどそのタイミングで有馬伽久の右前安打が飛び出し、楽々生還した。

 チーム一の俊足という市橋は言う。「常に次の塁を狙う走塁は選手全員がもっている意識。練習の時から心がけています」。走者を置いたシート打撃でも、いつも試合を想定して先の塁を狙う。こうして自分の判断による走塁が磨かれる。そこが肝だ。

 この日は走塁死やミスがあった。ただ、倉野光生監督は「次の塁を狙ってアウトなら仕方がない。前へ前へ、取りに行くことが次につながる」と気にするそぶりはない。「今日は相手の守備位置を見たり、打球の位置を確認したりして、練習以上のプレーができた」。最高の褒め言葉を選手に贈った。(堀川貴弘)