第120回息子は今どこに… トラウマ抱え、生きようともがく「兵士」の母たち

有料記事ウクライナ情勢

キーウ=疋田多揚 キーウ=野島淳、疋田多揚
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 ウクライナの首都キーウ(キエフ)北部の静かな森の中。ウクライナ軍が使う療養施設で、前線で心を病んだ兵士に交じり、療養に励む女性たちがいる。兵士だった息子と会えなくなった悲しみにうちひしがれ、日常に戻ろうともがく母親たちだ。

 7月22日、彼女たちは院内の一室で「生け花アート」というプログラムに参加した。

 7人の女性が、机に盛られたヒマワリやバラを数輪選び、木皿に盛り付ける。完成すると、作品を手に森を歩き、池に向けて一人ひとりが花々を投げ入れた。

 「彼女たちは、怒りや不安、やり場のない感情を心に閉じ込めている。アートで何かを表現することは、そうした感情を外に出す象徴的な意味があるんです。生きた花々に触れることで、自然の持つ力を採り入れる効果もあります」

 講師を務めた心理学者エウゲニア・トマシェフツカさん(43)はそう話した。池に花々を投げ入れるのも、自然が循環するように、感情の循環を促す効果があるという。

 イリーナ・ピドルージュナさん(45)も、ひと思いに花々を投げ入れた。

 母子家庭で育てた一人息子の…

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連載ウクライナ危機 市民は今(全150回)

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