昆虫に残酷なこと、子どもがしていたら 親はどう見守る?学者に聞く

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田渕紫織
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 虫の羽をとったり、巣穴を埋めたりと残酷なことを子どもがしていると、戸惑う大人もいます。親は、どう見守ればいいのでしょうか。専門家が、意外な調査結果とともに語ってくれました。

 話を聞いたのは、35年間、中学と高校で生物の教員を務めた経験があり、虫に詳しい東京家政大の佐藤英文・元特任教授です。定年後の今も、全国各地の山林に虫や草花の採集に出かけているそうです。

 ――虫に残酷なことをしてしまう行為は、どの程度の子が経験していることなのでしょうか。

 大学生226人に、「子どもの頃に、遊びの中で小動物を殺してしまったことがありますか?」と尋ねる調査をしたことがあります。

 99%にあたる224人が「ある」と答えました。

 ――ほとんどの人に経験があったのですね。

 2012年の調査ですが、予想以上に多かったことに驚きました。アリやミミズ、ナメクジ、ダンゴムシなどの土壌動物が大半を占めました。

 殺してしまった理由を尋ねると、「楽しかった」が最多で2割。このほかとしては、「なんとなく」「嫌いだから」「うっかり」「実験」などが主な原因でした。

上手に「見て見ぬふり」

 ――「楽しかった」が最多ですか。

 楽しかったというのは、好奇心のあらわれでもあると思います。生き物には命があるという認識をすると同時に、おもちゃを分解するのと同じく、好奇心で虫の羽をむしったり、ふんづけたりしてしまう。しかしそれらの多くは、一時期のもので、いずれはやらなくなります。

 ――自分の子ども時代を振り返っても、あったと思います。親は、どのように見守ればいいのでしょう。

 よほど猟奇的な目つきをしていたり、エスカレートしたりしていない限り、そっと見守りながら「見て見ぬふり」をして構わないと思います。幼稚園や保育園の先生も、程度をみながら見守っているようです。

 ――大人になって虫が苦手になってしまい、思わず「やめて」と言ってしまうこともあります。

 幼児は、きれいと汚い、気持ちいいと気持ち悪いの区別が大人と違います。大人から見ると汚い虫や葉っぱでも、子どもは大事に持っていることがよくありますよね。

 「さわっちゃダメ」などと言うと、自然への関心を育てる機会を奪ってしまうので、度が過ぎない限りは、なるべく大人が止めないでほしいです。

虫が好きかどうかを男女で比べると、予想外の結果が出たといいます。寺田寅彦の随筆も引用しながら、専門家が「そう単純じゃない」と言う自然の深みとは?

 ――大人が虫嫌いだと、子どもも虫嫌いになりやすいのですか。

 そう思いきや、過去に保護者…

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    おおたとしまさ
    (教育ジャーナリスト)
    2022年8月20日13時36分 投稿
    【視点】

    小学生の時に、昆虫の標本セットを買ってもらったことがあります。生きている昆虫に2種類の薬品を注射することで、息の根を止めて、腐らなくしたのを覚えています。それを使いたいがために、私はセミを捕まえてきては、標本にしていました。それを見た祖父が

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    磯野真穂
    (人類学者=文化人類学・医療人類学)
    2022年8月20日9時19分 投稿
    【視点】

    >子どもたちにお花をとったらかわいそうと言いながら、雑草は全部取ったり、虫を殺してはいけませんといいながら、蚊やゴキブリを殺したりしているでしょう。 この記事の肝はここだと思います。虫の羽をとるのは残酷であると言いながら、イカの活造り

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