絶望の先に広がる想像 佐渡裕プロデュースの美しき「ラ・ボエーム」

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小味渕彦之・音楽評論家
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 人は皆死ぬ。残された者は、その人と永遠に会えない悲しみにさいなまれる。気持ちを交わしたあの人は、この世界にはいないのだから。プッチーニ「ラ・ボエーム」は、仲間に見守られミミが病気で息を引き取り、悲嘆の中で幕が下りる。

 兵庫県立芸術文化センター西宮市)の佐渡裕芸術監督によるプロデュースオペラで、2年前にコロナ禍のために中止となった新制作のプロダクションが日の目を見た。第7波で各地で陽性者が増える中、8回の公演を完遂。悲しくも切ない物語が描かれた。ピットに入るのは佐渡指揮の兵庫芸術文化センター管弦楽団。

 舞台は19世紀のパリ。4人の青年芸術家の住まいは、ト書きにある屋根裏部屋ではない。セーヌ川に浮かぶ船だというのが、装置、衣装も担ったダンテ・フェレッティの演出の要になる。

 数々の名作映画の美術監督と…

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