「最も原始的なイヌ」お見合い大作戦 減り続けるヤブイヌ、繁殖挑む

今林弘
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 「最も原始的なイヌ」と呼ばれるヤブイヌの繁殖に、高知県立のいち動物公園香南市)が取り組んでいる。雄のカツマル(6歳)の繁殖相手にと、7月に雌のスマイラー(6歳)を迎えた。

 ヤブイヌは、南米のジャングルなどで群れで生活する。胴長短足で指の間に水かきがあり、水中を潜る。鳴き声は甲高い。雌は逆立ちをしてマーキングをする特徴があるという。国際自然保護連合(IUCN)の「レッドリスト」で「NT(準絶滅危惧種)」に指定される貴重な動物だ。

 のいち動物公園には、年間通じて気温20度以上に保つ機能のある温室でプールを備えた展示施設があり、熱帯の中南米と東南アジアの動物を飼育している。開園30年を迎えた昨年、この施設に合う新たな動物を探し、白羽の矢が立ったのがヤブイヌだった。

 昨年4月に京都市動物園から来園したのがカツマルだが、1年以上経っても飼育担当者以外は警戒心を緩めない「慎重派」。だが、一方で「どことなく昭和の香りがするのが魅力」という声もあり、園を代表する人気者に育った。

 スマイラーは英国生まれ。よこはま動物園ズーラシア横浜市)から来園した。カツマルとは対照的に、物おじしない「社交派」で、「同じ種でこれほど性格が違うものか」と飼育担当者らを驚かせる。

 2頭は通路を挟んで向かい合う飼育室で過ごしている。互いに網の目越しに姿を見ることができる。休園日には、カツマルが普段使う展示室にスマイラーを入れて慣れさせ、秋には2頭での展示デビューを目指している。

 のいち動物公園によると、国内のヤブイヌは2012年に29頭いたのが、20年には15頭に減少。原因は繁殖の難しさという。

 カツマル、スマイラーとも繁殖経験はないが、同園には東南アジアのジャングルで生活するマレーグマの繁殖実績がある。本田祐介副園長は「培った繁殖技術と温室機能を使い、国内繁殖のヤブイヌを少しでも増やすことかできれば」と話す。(今林弘)

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    太田匡彦
    (朝日新聞記者=ペット、動物)
    2022年8月18日12時50分 投稿
    【視点】

     日本動物園水族館協会(JAZA)ではコレクションプラン(JCP)をもとに希少種の計画的な繁殖を行っているが、優先的に繁殖を行っていく約90種(管理種)に、ヤブイヌは入っていない(2019年時点)。ヤブイヌはその見た目やしぐさから人気がある