主将時代に芽生えた「チームのために打つ」覚悟 下関国際の4番賀谷

太田原奈都乃
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(16日、第104回全国高校野球選手権大会3回戦 下関国際9-3浜田)

 一回表1死二、三塁。下関国際の4番、賀谷勇斗君(3年)が打席に向かった。先頭打者の右二塁打から四球と犠打でつなぎ、絶好の場面だ。

 富島戦は序盤に先制したが、リードは1点のみだった。今日は早く投手陣を楽にさせたい――。

 追い込まれ、スライダーだと思った6球目は、緩いカーブだった。それでも泳ぐことなく中堅へ返し、2点を先制した。

 ソフトボールを始めた小学1年の頃から4番を打った。下関国際でも長打力を認められ、下級生ながら中軸を任されてきた。

 一時は主将も任された。1年の夏大会で主将をした山下世虎(せとら)君(同)の不調が続き、1年冬から2年秋まで代わった。

 人前に立つのは得意ではない。自分は好調でも、他の選手やチームのことで坂原秀尚監督から叱咤(しった)を受け続け、戸惑い、悩んだ。

 主将としてどうあるべきか。2018年夏の甲子園で8強入りした主将、浜松晴天(そら)さん(22)に尋ねた。

 「『自分のため』じゃなくて『チームのため』に動かないと」。それが浜松さんの答えだった。

 その後、山下君が主将に戻った。4番として「チームのために打つ」との覚悟が芽生えたのはその頃だ。

 自分が倒れてでも、得点につなげる。山口大会準々決勝は犠飛で先制点をもたらし、準決勝は1点差に詰め寄られた苦しい終盤にスクイズを決めた。

 甲子園ではここまで5安打2打点。

 坂原監督は試合後にたたえた。「この大舞台で力を発揮できることに、勝負強さを感じる」。この夏、調子が出ない間も4番を外したことはない。

 次はベスト4をめざし、準々決勝を戦う。意気込みを聞くと「チームのためになる1本を打つ」と、答えは変わらなかった。(太田原奈都乃)