「あなたは特殊詐欺の犯人」なりきるアプリ 体験して気付く対抗策

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屋代良樹
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 これからあなたに特殊詐欺の犯人になってもらいます――。

 そのメッセージを読んで、京都市北区のひとみさん(73)は「えー!」と絶句した。

 人をだますなんてしたくない。しかし、彼女には従わねばならない事情があった。

 ときおり、「どうしたらいいの」などとつぶやきながら、渡されたタブレットを操作していく。

 電話をかけると、相手が通話内容を録音しているとの警告メッセージが表示された。どうするか――。

 ひとみさんは、切って次の家にかけることを選択した。

 実はこれ、京都府警老人福祉センターで開いた防犯教室の様子。ひとみさんら参加者は、あるアプリに沿って、特殊詐欺犯の立場になって考える疑似体験をしていたのだ。

 ひととおり体験した後で、ひとみさんは「だまそうとする犯人の心理がわかった。もう大丈夫」と取材に話した。

 アプリは、府警と京都府立医大が共同開発した「のーさぎチェックKP3」。使用者が特殊詐欺のだまされやすさを判定し、加害者側の思考を理解した上で対策を考える取り組みだ。

 開発の先頭に立ったのは、府立医大で認知神経心理学を専門とする上野大介助教(40)。2018年に府警と共同研究を始めて、特殊詐欺の発生事例や被害者の体験談に基づき、被害者の共通点を調べてきた。その成果を活用した。

 これまでも府警と共同して、だまされやすさを判定する質問事項が印刷されたチラシや、金融機関などのATMコーナーに置くフロアマットを考案した。

 参加者はまず、三つの質問に答える。①自分は詐欺に遭わない自信がある②知らない人の話によく聞き入る③電話が鳴ったらすぐ受話器を取る。二つ以上が当てはまると「詐欺被害に遭う可能性大」の判定が出る仕組み。その上で、前述の「犯人になってもらいます」体験をする。

 犯人体験は、高齢者がいる家の固定電話にかける設定だ。相手が通話を録音している▽留守番電話になっている▽相手がすぐに電話に出て世間話が始まり、相手をだませてしまう、の3パターンを体験できる。

 アプリを体験してもらうことで、加害者側が犯行をためらう対策法を参加者に学んでもらうのが狙い。上野助教は「自分の状況と加害者の思考を知った上で、対策してほしい」と話す。

 府警の統計によると、202…

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