震災の日の敗北、荒れた夜 昇級までの6年 将棋棋士・深浦康市

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村瀬信也

 将棋の深浦康市九段(50)が17日、第81期将棋名人戦・B級2組順位戦(朝日新聞社・毎日新聞社主催)の3回戦に臨んだ。王位のタイトルを3連覇し、順位戦ではA級で活躍を続けた名棋士の一人。数ある順位戦の戦いの中で特に思い出されるのが、あの大災害が起きた日の対局だという。

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 1995年1月17日。阪神・淡路大震災が起きたことで多くの人の脳裏に刻まれるこの日は、深浦康市にとって別の理由で忘れられない苦い一日である。

 第53期将棋名人戦・C級2組順位戦。22歳の深浦は東京・千駄ケ谷の将棋会館で45歳の菊地常夫と対戦した。午前10時に始まった対局は、菊地の四間飛車に深浦が居飛車穴熊で対抗する展開へと進んだ。

 昇級に向け、負けられない戦いだった。しかし、自陣の弱点を突かれて守勢に立たされる。必死に粘るが、形勢は好転しない。

 翌18日の午前1時10分、207手の激闘の末に深浦は投了を告げた。痛恨の黒星だった。

 敗戦の後、深浦九段がとった行動とは。後半では、AI(人工知能)に対する向き合い方や弟子の佐々木大地七段(27)への思いなどをご紹介します。

 将棋界の最高峰「名人」につ…

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連載純情順位戦 ―将棋の棋士のものがたり―

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