打倒・大阪桐蔭の一番手は…3、4失点以内なら勝機あり 高嶋仁の目

前・智弁和歌山監督
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智弁和歌山前監督 高嶋仁の目

 大阪桐蔭はやっぱり強いです。攻守に隙がありません。

 でも、高校生同士の試合です。絶対はありません。大切なのは気持ちで負けないこと。相手に向かっていくことです。

 そう考えると、打倒・大阪桐蔭の一番手は、やはり近江(滋賀)でしょう。

 エースの右腕・山田陽翔(はると)君からは「打てるもんなら打ってみろ」という心意気を感じます。選抜大会の決勝で大敗した後、チーム力を底上げし、攻撃力も上がってます。

 大阪桐蔭打線を抑えるのは大変ですが、有効なのは「縦の変化」と「緩いボール」でしょう。

 山田君には直球を低めに集める制球力と、そこから縦に落とす変化球があります。内角をズバッと突く球威と制球力も持っています。

 聖光学院(福島)の佐山未来君からもハートの強さを感じます。彼には球速90キロ台のカーブがある。

 九州学院(熊本)の直江新(あらた)君は低めへの制球力が安定している。緩いカーブも有効に使っています。

 大阪桐蔭は投手陣も充実しているので、3、4失点以内に抑えなければ勝機はありません。

 16日の3回戦で四回途中から登板して得点を許さなかった二松学舎大付(東東京)の左腕・布施東海君のピッチングが参考になります。緩い球を上手に使っていました。

 左投手は右投手に比べて、球種が一つ二つ増えたように打者は感じるものです。左腕特有の球筋、独特の変化があるからです。

 高松商(香川)の左腕・渡辺和大君は球の切れ、制球力がいいので面白いかもしれません。攻撃陣には強打の1番・浅野翔吾君がいます。

 3点勝負に持ち込めば、勝機はあります。

 準々決勝で対戦する下関国際(山口)には古賀康誠(こうせい)君、また愛工大名電(愛知)にも有馬伽久(がく)君という好左腕がいます。

 そして、仙台育英(宮城)の古川翼君も大会注目の左腕です。仙台育英には古川君以外にも好投手がたくさんいるので、今春の近畿大会決勝で大阪桐蔭の公式戦の連勝を29で止めた智弁和歌山のような戦い方ができるかもしれません。

 このときの智弁和歌山はタイプの違う4投手をつないで目先を変え、3―2で勝利しました。

 失点を抑えたら、あとは大阪桐蔭の投手陣から、どうやって得点するか。

 ストライクを取りに来る球を狙うことです。1回戦で三回までに3点をとった旭川大(北北海道)の打者は、早いカウントから甘い球を打っていきました。二松学舎大付の1年生4番・片井海斗君も積極的にバットを振っていました。

 攻撃面でも大切なのは気持ちです。

 ちゃんと準備をしたら、あとは思い切っていけばええんです。打てんかったら仕方ない。切り替えて次の打席に備える。

 若者らしい開き直りも武器になります。(前・智弁和歌山監督)

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