女たちは抵抗し、応答した 戦後美術史を中嶋泉・阪大准教授が語る

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田中ゑれ奈
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 戦後の日本では、多くの女性美術家が活躍した。それなのに今、彼女らの足跡がほとんど知られていないのはなぜか――。「アンチ・アクション―日本戦後絵画と女性画家」(ブリュッケ)で2020年のサントリー学芸賞を受けた中嶋泉・大阪大学准教授によるセミナーが7月、大阪府寝屋川市であった。

 1957年に渡米し国際的に名を知られた草間彌生は、今なお日本で最も著名な美術家といっても過言ではない。ただ、「50年代に草間さんのように活躍していた女性美術家は、他にもたくさんいた」と中嶋さんは言う。

 戦後の民主化の中で、音楽や文芸、放送など諸分野で「女流」に注目が集まった。美術界では40年代末~50年代にかけて女性中心の団体が結成され、女性美術家やその作品が雑誌などで積極的に紹介された。

 ただし、そこで注目されたのは戦前から活躍するベテランではなく、戦後世代の「新人女性」。そして、そのブームを支えたのは岡本謙次郎や瀧口修造ら年配の男性批評家だった。

 「彼らの言葉は旧態依然としていた」と中嶋さん。「女性の作品を『女らしさ』という観点でしか見ることができない。素直、率直、ロマンチックといった言葉が女性性と結びつけられ、『技術や知性が伴わない代わりに直感的に表現できる』というような批評が主だった」。男性美術家への批評では材料や構成の決定といった知的な側面が評価されたのに対し、女性の作品では生理や体臭といった身体性に言及されることも多かった。

 そんな中で起きたのが、56…

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