血のメーデー事件では増えたが… 勾留理由開示が使われないわけ

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安井健悟
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 裁判官が、勾留した理由を容疑者や被告に説明する「勾留理由開示」という刑事手続きがあまり使われていない。憲法に明文化された容疑者らの権利なのに、なぜなのか――。手続きができた経緯や歴史などを取材した。

 大阪地裁804号法廷。弁護人の前に座ったTシャツ姿の女(40)は、しきりに傍聴席の入り口の方を気にしていた。家族とみられる男女3人が入ってくると、女は天井を仰ぎ、目頭を押さえた。

 手続きは裁判官による事件の概要説明から始まった。消費税数千万円などの不正還付を受けた疑いで逮捕されたことを説明し、勾留した理由に言及した。

 「罪証隠滅と逃亡のおそれがあり、勾留の必要性が認められる」

 罪を犯したことと、証拠隠滅や逃亡を疑うに足りる相当な理由などがあれば、勾留できると定めた刑事訴訟法に沿った説明だ。

 弁護人は、国税局の任意聴取を受けていた約2年半、女が行方をくらましたことはなかったとし、逃亡のおそれはないと反論した。だが、裁判官は繰り返した。「罪証隠滅と逃亡を疑うに足りる相当な理由があると判断した。それ以上は証拠に関わる事柄であり、答えられない」

 女は嗚咽(おえつ)しながら…

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