この恋にはスマホは存在しない? 俵万智さんとAI「恋の歌会」
昨年度の朝日賞を受賞した歌人の俵万智さんを迎え、「俵万智×AI 恋の歌会」(朝日新聞社主催)と題する短歌イベントが6日、東京都内で開かれた。AI(人工知能)の進歩で、私たちの創作は今後、どう変わっていくのか。俵さんと一緒に考えた。
イベントは新型コロナウイルスの感染拡大状況をふまえて会場の参加者を約50人に絞り、オンラインとの併用で開催した。
俵さんと、朝日新聞社メディア研究開発センターの浦川通研究員が登壇。短歌AIが無数の歌を瞬時に生成する様子を浦川研究員が披露すると、俵さんは「投げかけた上の句に対して100首返ってきたら、『いや違う』『これはかなりいい』と自分の気持ちがはっきり見えてくる。自分が詠みたいものの輪郭をはっきりさせる『相棒』として期待できる」と語った。
短歌AI
短歌を生成するAIを、朝日新聞社の「メディア研究開発センター」が開発した。大量の言語データを使って五・七・五・七・七の短歌のリズムや言葉の並び方をAIに学習させたもので、任意の言葉を入力すると、それに続けて瞬時に無数の短歌を生成する。現在のモデルでは1秒で100首の短歌を生成できる。
短歌AIの作品を、俵さんが添削する場面もあった。AIがつくった歌は〈あたらしい恋の思いによるとこの恋にはスマホが存在しない〉。俵さんは「結構いけてるよね」とこの歌をほめつつ、少しだけ手を入れた。〈あたらしい恋の定義によるとこの恋にはスマホが存在しない〉。会場からは拍手が起こった。
「この恋にはスマホは存在しないっていうのが面白い」と俵さん。「いま、スマホなしで恋愛ってできないよね。だからこそ、新しい恋っていうのはスマホなしの恋なんだとAIが言ってきたような感じ」
イベントの応募者から事前に…