小4女児が兵器プラモで表現する「戦争と平和」 技法は大人顔負け

松原央
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 プラモデルを通して第2次世界大戦などの兵器や兵士たちの姿を大人顔負けの技法でリアルに再現し、コンテストで入賞を繰り返している少女が三重県伊勢市にいる。「戦争が終わり、平和が生まれる瞬間を表現したい」という思いで、制作に励んでいる。

 同市立みなと小学校4年の斎藤海(うみ)さん(10)。両親は、プラモデル工房を兼ねた喫茶店「ホビーカフェ ガイア」(同市御薗町高向)を経営している。

 店内では近所の小中学生や模型ファンらが作品作りを楽しむ。アニメのロボットやキャラクター、スポーツカーなどを作る子どもが多いなか、斎藤さんが手がけるのは、第2次大戦中の戦車など実際の兵器のプラモデルだ。塗装で金属の汚れや劣化を表現する「ウェザリング(汚し)」という技法で、実物のような質感を巧みに再現する。

 「金属がさびた、リアルな感じが格好いい」と斎藤さん。「プラモなのに本物の鉄みたいにできると、手にした人が軽さに驚いてくれる」のが楽しいという。

 同店は、両親が「子どもたちに、ものづくりの楽しさに触れてほしい」と2016年に開店。当時4歳だった斎藤さんも、父親の憲一さん(52)の手ほどきで「機動戦士ガンダム」シリーズのキャラクターから模型作りを始め、次第に実物の兵器にひかれるようになった。

 兵器やその背景のジオラマを作ると、戦争にまつわる「物語」が頭に浮かぶという斎藤さん。でも、戦闘そのものの場面は「人の死が見えるのが嫌だから」と作品にしたことがない。

 昨年の秋に完成した「終戦と新たな命」では、第2次大戦で放棄されたドイツ軍の車両に平和の象徴のハトが巣作りをする様子を表現し、専門誌のコンテストで入賞した。

 あいち航空ミュージアム(愛知県豊山町)が主催した今年の「航空機プラモデルコンテスト」には、池に墜落して放置されたヘリコプターが風景に溶け込んでいる姿を描いた作品「緑の池から戻れなくて」を出品。「あいち航空ミュージアム賞」を受賞し、今月末まで同館で展示されている。

 今月初めに完成したばかりの最新作「作業ゆっくりでいいぞ」では、第2次大戦中のヨーロッパで、前線に向かう戦車を囲んで兵士と子どもたちがつかの間の交流を楽しむ姿を表現した。「戦争が終わって兵器が要らなくなり、その周りにも平和がくる。そんな瞬間を作品にしたい」と話す。

 憲一さんは「文明による破壊からの再生は、『宇宙戦艦ヤマト』や『ガンダム』など日本のアニメ作品でも根幹にあるテーマ。そんな感受性を受け継いでくれてうれしい」と目を細める。斎藤さんは「自分を一番表現できるのがプラモデル。だからずっと続けたい」。親子で制作に取り組む日々がこれからも続きそうだ。(松原央)