ニセ電話詐欺防止、留守電が有効 「犯人は声を録音されるのが嫌い」
ニセ電話詐欺(特殊詐欺)の被害防止に、固定電話の留守番電話設定を活用しようと、茨城県警が呼びかけている。すぐに電話を取らないことで、犯人グループとの接触を減らす効果があるという。PRのためのマスコットキャラクターも新たにつくり、啓発に力を入れる。
ニセ電話詐欺対策室によると、今年1~7月の県内のニセ電話詐欺被害者は128人(前年同期比約15%減)で、被害金額は約2億5800万円(同約12%減)だった。
息子など親族をかたるオレオレ詐欺と、「口座が悪用されている」などとだましてキャッシュカードを盗む詐欺がそれぞれ29%を占めた。次いで還付金詐欺が約17%、架空料金詐欺が約15%だった。
同室が6月末までの被害者107人に聞き取ったところ、91人は固定電話にかかってきた電話を端緒に被害に遭った。12人は留守電設定をしていたが、すぐに受話器を取ってしまい、64人は留守電機能はあったが設定していなかったという。15人の電話には留守電機能がついていなかった。留守電機能があるのに設定していなかった人の9割は、その効果を知らなかったという。
県警は、在宅中でも留守電設定をして、知人であることを確認してから電話に出ることを勧めている。「この通話を録音させていただきます」などの警告メッセージを流す自動録音機能も抑止効果になる。
一方、新たにつくったマスコットは「ACT―G(アクトジー)」。県警マスコットひばりくんのロボットという位置づけで、留守電設定が特技だ。行動(Act)と防御(Guard)の英単語が名前の由来という。ポスターや子ども向けの塗り絵をつくり、孫から祖父母に注意喚起してもらうことなどを検討している。
今月4日に会見した和地義明刑事部長は「犯人グループは声が録音されることを嫌う。録音が始まり、相手の声が聞こえてから受話器をとっても間に合う。自助の防犯活動にしてほしい」と訴えた。高齢者以外の人に向けては、帰省などの際に、実家の電話を留守電設定にして欲しいと県民に広く呼びかけた。(古源盛一)