自衛隊・在日米軍の基地や原発などの「機能」を阻害させようとしていないか、施設の周辺に住む人々の情報を政府が一元的に集められる、とした土地利用規制法が9月に全面施行される。
誰のどんな情報を集めるのか、周辺で何をすると勧告や命令・処罰の対象となるのか、などの根幹があいまいなまま昨年6月に法が成立し、詳細は基本方針などに委ねられていた。このほど公表された方針案で懸念は解消されたのか。24日のパブリックコメント締め切りを前に、昨年の参院内閣委員会で意見陳述した馬奈木厳太郎弁護士に聞いた。
――国会での意見陳述では「法案は、閣議決定で定める、政令で定める、必要があると認めるとき、といった文言のオンパレード」だ、とあいまいさを批判していました。基本方針案で懸念は払拭(ふっしょく)できましたか。
機能阻害行為って?
「到底そうとは言えません。むしろ、ますますこの法律のあいまいさを感じています。『機能阻害行為』の規定などは象徴的です」
――施設の周辺に住む人がその行為をするおそれがあると政府がみなせば、勧告や命令をできる、という行為のことですね。法律に具体的な規定がなく、近代刑法の原則から外れていると国会でも批判されました。
「基本方針案は、自衛隊機の離着陸の妨げとなる工作物の設置、妨害電波の発射など7例を挙げたうえで『この類型に該当しない行為であっても、対象になることはある』としています」
「この例はいずれも、電波法や航空法など、すでにある法律やその改正で対応できるものです。基本方針案にも、まずはそうした現行法で対応すると書かれています。やっぱり土地利用規制法は必要のないものだったと再確認しました」
「政府は国会で、航空自衛隊千歳基地(北海道)や海上自衛隊対馬防備隊(長崎県)の周辺の土地を外国資本が買ったことを挙げて、法律の必要性を説きました。では、それぞれの施設で7例のうちの何が問題になったのかと、先日内閣府や防衛省に聞きましたが、どちらも答えられませんでした」
――これは機能阻害行為には…
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