「ひととき融資」は象徴 「クロサギ」原案者が見た「小悪党」時代
黒田健朗
最近「ひととき融資」なる行為が、流行しているという。
「ひととき」は性行為を意味する隠語だ。SNSを経由して肉体関係を持つことを条件に、違法な高金利などを掲げて金を貸す。個人情報を悪用される問題も潜む。
「グランドジャンプ」(集英社)で2月から連載中の、甲斐谷忍の漫画「カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義」の連載第1話では、そんな問題が取り上げられた。
作品では、様々な形でだます人、だまされる人びとが登場する。「無認可共済」「名義貸し」「不正受給」「マルチ商法」……。主人公の経済学者、加茂洋平が「フィールドワーク」として、シングルマザーや会社社長などになりすまし、弱者からの搾取をもくろむだます側を経済理論も用いて成敗するわけだが、どれも被害の実態が克明に描かれ、生々しい。
原案を手がけるのは、夏原武。詐欺師をだます詐欺師が主人公の「クロサギ」や、不動産業界の闇を描く「正直不動産」などの漫画の原案や原作で知られる。
最近、ひととき融資のようなスケールの小さい「小悪党」が増えた――。一貫して社会の「裏」を描き続けてきた夏原はここ数年、そんな思いを抱く。
どういうことか。
「大金を貸して利益を上げる…