【東京】言語の壁を越えて、演劇をもっと身近に感じてもらおうと立ち上がった日英バイリンガル劇団「劇団バナナ」が創設10周年を迎えた。0歳から10歳を主な対象に、スーツケースに小道具や衣装を詰め込んで幼稚園などに訪問する身軽さが好評で、海外公演も積極的に行っている。

 劇団バナナの立ち上げは2012年。主宰の草野七瀬さん(42)が夫の転勤に帯同し、ニューヨークで子育てしている時だった。元々演劇が好きだった草野さん。大学時代にも訪問型の演劇サークルを立ち上げていた。米国では子ども向けの演劇のワークショップがあちこちで開催され、演劇が身近に感じられた。「日々成長する子どもたちのために、刺激になるような環境を自分たちも作れたら、と思いました」

 たまたま同時期に大学時代の仲間もアメリカにいたことから草野さんも含め3人で活動を開始。観客は子どもたちが中心で、国籍は多様だった。日本文化を英語で紹介したり、在米日本人に日本語で演劇を見せたり――。子どもたちは言語の壁を越えて、舞台の約45分間、集中力を途切れさせなかった。「わからない単語も想像力で補って、物語の進行についてくる。大人もびっくりするくらいでした」

 2016年に帰国し、調布市を拠点に幼稚園やインターナショナルスクール、病院など全国各地を訪ねた。台湾や韓国など海外公演も行っている。所属している劇団員は20~40代の約30人。会社員や主婦などで、国籍も様々だ。同じ時間に集まって練習するのは難しいため、通話アプリを使って、台本を読み合い練習している。英語の発音も、ネイティブの劇団員が細かくチェックする。

 年間50回近く公演を行ってきたが、コロナ禍ではキャンセルが相次いだ。劇団にとっては苦しかったが「大がかりな舞台装置や劇場を使わないので、なんとか続けてこられました」と草野さん。今はオンライン配信も行っている。

 劇団創設から10年がたち、草野さんの長女、桜さん(11)も「演劇をやってみたい」と言い出した。今年4月からは中学生までを対象に「劇団バナナkids演劇創作ラボ」を始めた。月2回、調布市仙川町1丁目のスタジオでレッスンを行っている。7月末、スタジオを訪れると草野さんらが3人の子どもたちを指導していた。レッスン中は子どもたちからも「自分たちの自由に踊ろうよ」「ここはそろえた方がきれいじゃない?」「次やりたい!」とアイデアが出る。来年3月には発表会を予定しているという。

 劇団バナナの次回公演は10月9日、中野区中野2丁目の「なかのZERO」視聴覚ホールで予定されている。「ふしぎの国のアリス」をモチーフにした参加型のショーで、チケットは前売り大人1500円、18歳以下は700円。0歳児は無料。詳しくはHP(https://www.theatrebanana.com/別ウインドウで開きます)でも確認できる。(石川瀬里)

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