第2回死を感じたL字の監獄、バッタを食べて生きた 釈放後はCIAの調べ

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牧野愛博
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 ソウルの中心部にあるカフェで、金東哲(キムドンチョル)氏(69)はコーヒーをすすりながら、自身の苛烈(かれつ)な体験を、とつとつと語り続ける。

 米韓の依頼を受けて情報収集をしたとして、北朝鮮で収監された経験を持つ元「囚人429号」。2015年に北朝鮮当局に捕らえられた後、どんな境遇に置かれていたのか。

【連載】囚人429号 北朝鮮に捕まった男

「スパイ」とされて獄中に入り、2018年の米朝首脳会談前に両国間の交渉で解放された金東哲氏。証言を刻む連載の2回目では監獄生活などを語る。

 その証言は続く。

 「北朝鮮は、私がやっていることをすべて知っていた。10年以上、私を調査していた。逮捕する決定的な証拠がなく、知らないふりをしていた。私を英雄だとほめながら、私がやっていることをすべて知っていた」

 15年10月に平壌で金氏を捕らえた国家保衛省(秘密警察)は、まず北東部の羅先で金氏を2週間調べ、次に半年にわたって平壌にある同省のアンガ(秘密の施設)で調査したという。

 「共和国の建国以来、スパイは初めてで、驚愕(きょうがく)している」と責められた。「なぜ、共和国に敵対行為を働いたのか、反省文を書け」「最高尊厳を冒瀆(ぼうとく)した。何のためにやったのか」などとも言われた。反省文を何度書いても許してもらえず、積み上げた紙は15センチほどの厚さになったという。

「本来は死刑」だが、労働鍛錬10年に その理由は

 北朝鮮当局は金氏の行動を全…

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連載囚人429号 北朝鮮に捕まった男(全2回)

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