ペロシ米下院議長の台湾訪問がもたらした影響について、中国政治に詳しい青山学院大学の林載桓(イム・ジェファン)教授に聞きました。
中国は何を得たのか。
中国にとって想定外だったこととは。
イム・ジェファン 1976年、ソウル生まれ。2019年から青山学院大教授。専門は中国現代政治。著書に「人民解放軍と中国政治」。
――ペロシ氏の台湾訪問に対する中国社会の反応をどう見ていますか。
中国国内の世論が予想以上に、台湾を武力で屈服させる強硬路線を支持する方向に盛り上がりました。「台湾をこのまま攻め落としてしまえ」というような言説がネット上で見られました。これは習近平(シー・チンピン)政権にとっては、必ずしも望ましくない状況だったと思います。
中国共産党にとって、民族主義やナショナリズムはあくまでも自らが統制できる形であることが重要です。民族主義やナショナリズムの中身は社会の側が自発的に定義するのではなく、中国共産党が決めなければならないのです。
中国国内の世論は
――政権が世論の盛り上がりを容認した、あるいは、盛り上げたという側面はないのでしょうか。
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政権側があおったという側面…