仙台育英・斎藤陽は自称つなぎの4番 故障中に得たある「気づき」

武井風花
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 20日、第104回高校野球選手権大会準決勝、仙台育英18―4聖光学院

 165センチと小柄ながら、1年夏からスタメン入り。仙台育英の斎藤陽(ひなた)君(2年)は、持ち味のミート力から「不動の4番」と須江航監督の信頼も厚い。

 宮城大会ではチーム最多タイの5打点を挙げながらも、「自分はつなぎの4番」と口にする。長打ばかり狙うスラッガータイプではない。盗塁やバントといった小技も扱う。

 一つの気づきがあった。5月に死球で左ひじを骨折し、1カ月ほど練習できない期間があった。ベンチから仲間のプレーを眺めると、攻撃がなかなかつながらない。「出塁率が高く、チャンスで打てる打者がもっと必要だな」。自分がその役割を果たすべきだと考えるようになった。

 昨夏、仙台育英は夏の甲子園出場を逃した。宮城大会4回戦で惜敗したときのラストバッターが斎藤君だった。右飛に打ち取られて涙が止まらないなか、先輩は「お前のせいじゃない」と言葉をかけてくれた。

 先輩の優しさを支えに、練習では質の高さにこだわってきた。ティーバッティングで横や後ろ、斜めから球を投げてもらい、バットコントロールの精度を磨いてきた。

 7年ぶりの決勝進出がかかったこの日、斎藤君は初回の得点機にスクイズを外されたものの、二回で直球を振り抜き、適時打を放った。四球も二つ選んで次につなげた。

 22日の決勝戦に、東北勢悲願の初優勝がかかる。「気負わずに臨みたい。チャンスで1本打てればいいなと思うけど、打てなくても後につなぎたい」

 後ろには高校通算本塁打20本以上の遠藤太胡(だいご)君(3年)らがいる。「頼れるバッターが他にいるから、安心して打てる」。心強い仲間と目指す勝利は、あと一つだ。(武井風花)

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