夏のワカサギ、脂のり手が止まらないうまさ 全国に先駆け漁解禁
昇ったばかりの朝日を浴びて、箱に入ったワカサギがきらきらと光っている。その中にはテナガエビも交じっていた。
8月15日朝5時、茨城県稲敷市浮島の霞ケ浦湖岸。網を引いて魚を捕るトロール漁を終え、漁船から降りてきた伊藤義男さん(71)が、箱を見せながら言った。
「霞ケ浦のナツワカは白いんだよ」
ナツワカとは、茨城で捕れる夏のワカサギのことだ。ワカサギの主産地は青森、北海道、秋田、茨城。霞ケ浦と北浦では全国に先駆けて7月下旬、漁が解禁される。他の産地は9月以降が多い。
伊藤さんによると、東北や北海道のワカサギは茶色っぽいものが多いという。茨城のワカサギが白いのは、水温が比較的高いのが理由の一つではないか、と伊藤さんは考える。
私にとって、ワカサギは凍った湖上に穴を開けて釣る、冬のイメージだった。それが覆された。
ナツワカは、冬場のワカサギより脂がのっているのが特徴だ。霞ケ浦北浦水産振興協議会のまとめによると、100グラムあたりの脂質は、一般的なワカサギと比べて10倍。健康に良く、人間の体内ではつくることができない必須脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)も豊富だ。骨も柔らかいという。
霞ケ浦に面した行方市出身の伊藤さんにとって、ワカサギは夏に捕れるものというのが常識だった。「相当昔から、ずっと『ナツワカ』だったんだよ」
ナツワカは、10センチを超…