【証言⑩】ブチャ市役所職員のセルヒー・カプリチニさん 「私の感情は停止していた」
ロシア軍の4月の撤退直後、キーウ近郊ブチャのヤブロンスカ通りの映像が世界に衝撃を与えた。
路上に放置された数々の遺体が映し出されていたからだ。
これらの遺体を路上から安置所に運び込む現場班を率いたのが、ブチャ市役所の職員セルヒー・カプリチニさんだ。
カプリチニさんは「死の通り」の遺体を回収後、民間人が処刑されたとみられている場所も回った。解放後の1週間に集められた遺体は約200という。
ロシア軍のウクライナ侵攻前は、どこの自治体の役場にもあるように、遺体の埋葬許可を出す仕事に就いていた。デスクワークが多い仕事だった。
それが2月24日を境に激変した。
ロシア軍の占領下では、安置所からあふれる遺体を仮埋葬した。
ロシア軍の撤退後は、街中に放置されていた民間人の遺体を回収した。
その数、解放後の1週間で約200という。
彼に、ブチャ解放後の話から振り返ってもらった。
【プレミアムA】「死の通り」 ブチャ 生存者の証言
ロシアによるウクライナ侵攻から半年が過ぎました。大量虐殺の悲劇に見舞われた街ブチャに「死の通り」と呼ばれる場所があります。生存者が語るロシア占領下の「絶望の1カ月」とは。金成隆一記者が住民の証言を丹念に集めました。臨場感のある写真や映像とともに伝えます。
■ロシア軍の撤退後、現場班…