待ち続けた頭蓋骨、まるで語るように 観光船事故、捜し続けた漁師
神村正史
「私はここにいます」
頭蓋骨(ずがいこつ)はそう語り、北海道・知床岬に近い小さな湾の波打ち際でじっとしているようだった。
「遠くからでもよく分かった。とてもきれいな真っ白。あそこに骨があるぞ、とみんなで走って行った」
知床半島の東側、羅臼町で漁師を営む桜井憲二さん(59)は振り返る。
「捜索の空白地帯がある」。そう気づいてボランティアで行方不明者や遺留品を捜し続けたのは、観光船事故が起きた斜里町とは、知床半島を挟んで反対側の羅臼町の漁師だった。なぜ、漁師は手弁当で捜索に出たのか。本人に話を聴きました。
桜井さんは、観光船「KAZ…