朝日新聞社賞「吹分盤」 般若泰樹さん

法野朱美
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 第69回日本伝統工芸展(日本工芸会、朝日新聞社など主催)の入賞・入選者が24日付で発表され、富山県内から14人が入選した。このうち、高岡市の般若泰樹さんの「吹分盤」が朝日新聞社賞を受けた。

 高温で溶かした黒味銅(青銅に金や銀を含む)や真鍮(しんちゅう)を交互に型へと流し入れる。すると、幻想的な美しい模様が現れる。この「吹分(ふきわけ)鋳造法」で2019年に続く2度目の入賞という栄誉に輝いた。

 普段は父らと創業152年の「般若鋳造所」(高岡市)で茶道具や鉄瓶を作っているが、作品展に挑む姿勢をこう説明する。「野球に例えるならプロ野球やメジャー級の挑戦を自分に課す。そこで生まれる発想や発見が仕事に生きる」

 今回の作品のモチーフは「翼」。日本の金工作品のコレクターで、研究者でもあった知人の米国人女性に提案されたテーマだ。だが知人は作品を見ることなく、昨年7月に亡くなった。

 制作では、華やかさと重厚感を兼ね備えた水盤を目指して、型に金属を流し入れる「湯口」を通常の1カ所から4カ所に増やしてみた。先に真鍮を入れ、後から重く黒みのある銅で「翼」を描くように流し込んだ。

 真鍮と黒味銅が混ざり合う色やコントラストが想像以上のものになったといい、「長年の『宿題』にようやく応えられた。人の思いに応えられる、たった一つの作品を作りたい」。(法野朱美)