1分8秒間、誰も後方を見ていない 銃撃時の警護は「明らかな不備」

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編集委員・吉田伸八、鶴信吾
【動画】会見する奈良県警の鬼塚友章本部長=米田千佐子撮影
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 安倍晋三元首相の銃撃事件から約1カ月半を経て、警察庁が警護警備の検証結果と再発防止のための対策を公表した。警護対象者を守れなかった警察のどこに問題があり、どう変わるべきなのか。再発させないための課題も見えてきた。

 「後方警戒の空白」が本件結果を阻止することができなかった主因だ――。警察庁の報告書は、今回の警護警備の最大の問題点をそう指摘した。

 7月8日の安倍氏の演説会場は奈良市の近鉄大和西大寺駅北側のガードレールに囲まれたエリアだった。後方(南側)には道路があり、当時交通規制はされていなかった。その先にはバス・タクシーのロータリーが広がる。

 安倍氏のそばには、奈良県警本部所属の警護員3人と警視庁から派遣されたSP1人の4人がいた。そのうち県警の1人(巡査部長)はガードレールの外側にいて主に後方を警戒していたが、上司である別の警護員(警部補)の指示で安倍氏の演説直前にガードレール内側に移動し、主な警戒方向も斜め前(北東側)や横(東側)に変わった。これにより、主に後方を警戒する要員はいなくなった。

不十分な指揮で生まれた「空白」

 検証の結果、演説を聞いていた山上徹也容疑者(41)が動き始めて2発目を発砲するまでは1分8秒。歩道を出て1発目を発砲するまでの10秒間を含め、どの警護員の警戒方向からも山上容疑者が外れていた。

 警察庁は、現場の上司が警戒方向の変更を指示したことは、前方や側方に聴衆が多く集まったことなどから「相当の理由がある」と判断。だが、後方の警戒を補強する配置を現場指揮官である県警本部警備課長(警視)に要請しなかったことや、変更を視認していた現場指揮官の指揮が不十分だったことなどから「空白」が生まれたとした。

防弾のついたてなどの配備も

 現場での指揮が機能しなかっ…

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