第3回「親中」拡散の夫婦は「中国で研修」 ネット部隊?自宅を直撃すると

有料記事

花蓮〈台湾東部〉=石田耕一郎
[PR]

 台湾東部・花蓮の地方裁判所で昨年10月、ひと組の夫婦に有罪判決が下された。罪状は、偽のアカウントを使って大量のフェイクニュースや根拠のない親中的な論評を散布したことだった。裁判所は開廷日を知らせる公式サイトで、夫婦の刑事裁判をこんな風に表現していた。

 「台湾の安全保障に関わる案件」――。

 なぜ、ネットへの投稿が、安全保障に影響するとみなされるのか。

 背景には、台湾社会で、中国政府がフェイクニュースを使った世論工作を展開している、という強い警戒感が広がっている現実がある。夫婦に対する捜査を担ったのも、米連邦捜査局(FBI)に相当する台湾の捜査機関・調査局だった。

フェイクニュースに揺れる島 台湾「情報戦」を追う

台湾では、サイバー攻撃に見舞われ、フェイクニュースが出回ることが半ば日常となっています。台湾側は、中国政府の関与を疑い、統一への抵抗をくじく狙いがあるとみます。「情報戦」とも言える実態へ迫りました。

 夫婦は調査局から、中国と協…

この記事は有料記事です。残り2392文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    安田峰俊
    (ルポライター)
    2022年8月30日0時17分 投稿
    【視点】

    非常に面白い記事でした。 日本の場合はそもそも親中国・中共的な思想的立場を持つ人が非常に少ないことや、日本語という言語の障壁が高いこともあって、これと同様の工作が容易にできるとは限りません。 ただ、台湾の場合、住民のアイデンティ

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    坂尻信義
    (朝日新聞編集委員=国際政治)
    2022年8月29日18時7分 投稿
    【視点】

    台湾の駅やコンビニの電光掲示板に、台湾で使われている繁体字ではなく、中国で使われている簡体字のメッセージが流れたといいます。しかも、その内容はペロシ米上院議長の台湾訪問をののしるものでした。台湾の外交部と国防部は、中国側の仕業と断定したそう

    …続きを読む