高崎山のサル、ウルグアイへの寄贈中止に 「動物福祉」で反対運動も
大分市は25日、高崎山のニホンザルを南米ウルグアイに寄贈する計画を中止した、と発表した。ラグビーW杯を契機に交流が生まれた同国に寄贈する計画を進めていたが、ウルグアイ側から辞退の申し出があったという。寄贈をめぐっては、群れで生息する野生のサルの一部を海外に輸送することに反対の声が上がっていた。
市観光課によると、ウルグアイ側から同日、寄贈辞退を申し出る書簡が観光課にメールで届いたという。辞退の理由は記されていなかったが、市はこれまでの現地の日本大使館などとのやりとりの経緯から「ウルグアイ側が技術的、経済的などの理由により辞退した」と判断したという。
寄贈計画は大分市が今年2月に発表。2019年のラグビーW杯の際、市内でキャンプを張ったウルグアイに今後も親近感を深めてもらおうと、サル15匹をドゥラスノ県の動物園に贈る計画で、今年度の一般会計当初予算案に関連費用700万円を計上し、来秋にも空輸する予定だった。市は1977年にもイタリア・ローマの動物園に高崎山のサル30匹を寄贈している。
一方で、近年の「動物福祉」の意識の高まりとともに、寄贈に反対する声も県内外から上がっていた。オンライン署名サイト「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」では、「高崎山の猿を寄贈しないで」と題したキャンペーンに約1万5千人が賛同。署名の呼びかけ人はサイト内で「野生である猿たちは自然豊かな高崎山にいたのに、突然捕獲され、閉じ込められ、移送され、全く異なる環境に強制的に移動される」「高崎山の猿は大分市の『モノ』ではありません」などと訴えていた。
大分市観光課の担当者は「署名が集まっていたことは承知しており、ウルグアイでの生息環境の整備、鳥獣保護法の許認可も含め細心の注意と配慮を行いながら、慎重に進めていきたいと思っていた」と話した。そのうえで「今回の寄贈中止はあくまで、ウルグアイ側から辞退の申し出があったため」とした。(倉富竜太)
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