米ニューヨークの国連本部で8月1日から開かれてきた核不拡散条約(NPT)再検討会議は最終日の26日(日本時間27日)、ロシアの反対で最終文書が採択できないまま閉幕した。2015年の会議に続く「決裂」をどう受け止めればいいのか。核兵器の問題に詳しい専門家やNGO関係者に聞いた。
戦時下、議論できただけでも意義あった 黒澤満・大阪大名誉教授
核不拡散条約(NPT)の再検討会議で最終文書を全会一致で採択することが理想的ではあった。
しかし現在は、核兵器をめぐる「二重の対立」が深まっている。米ロの核軍縮交渉が停滞していたところにロシアのウクライナ侵攻が追い打ちをかけ、核保有国同士が鋭く対立している。核保有国と非保有国の対立も根深い。
過去の再検討会議を振り返っ…
- 【解説】
コロナパンデミックによる4回2年にわたる延期、そして今年2月のロシアのウクライナ侵攻とそれに続く戦争を背景に行われた今回の運用検討会議は、NPT発効50年あまりの中でも最も困難な国際環境下で行われたものであった。同時に、核リスクが冷戦の最盛