広がれ「田んぼダム」 豪雨災害対策へ取り組み 農水省も手引き作成

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伊藤繭莉
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 豪雨による浸水被害を防ごうと、千葉県内では、水田に一時的に雨水をためる「田んぼダム」に取り組む農家が徐々に増えている。田んぼダムは河川流域に占める面積が大きいほど効果があるが、継続するには、課題がある。

 田んぼダムは、小さな穴の開いた調整板などの装置を水田の排水口に取り付けて流水量を抑えることで、農地や下流域の浸水被害を軽減する取り組みだ。

 佐倉市の飯田地区では7月から、田んぼダムを始めた。地区の約9割の農家が参加する。

 きっかけは2019年10月の豪雨被害だった。周辺地区では、排水路周辺の水田が1週間ほど冠水した。飯田地区では、今後の浸水被害を防ごうと、話し合いを重ね、田んぼダムをすることに決めた。

 田んぼダムを始めた農家の木内浩行さん(61)は「平時より10センチほど水がたまっても稲作にあまり影響しない」と語る。田んぼダムを進める環境保全会の清宮健一会長(71)は「上流域などでも取り組みが広がれば、浸水被害がもっと軽減される」と期待する。

 現在は簡易型の装置を使用するが、来年以降に改良することも検討している。

 今年4月、農林水産省は田んぼダムの「手引き」を作成した。国は、現状の全国の田んぼダム約4万ヘクタールから約3倍以上を目標とする。千葉県によると、昨年度に国の交付金を活用し、田んぼダムに取り組んだのは、茂原市や長南町、白子町の3市町の農家だったという。(伊藤繭莉)

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