第5回「機能性表示食品制度」は誰のため? 消費者視点でみた二つの問題点

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聞き手・編集委員 大村美香
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 「健康食品の機能性表示を解禁します」。2013年6月、安倍晋三首相(当時)は成長戦略第3弾スピーチでこう宣言し、15年4月には企業の責任で食品の健康効果をうたえる機能性表示食品制度が導入されました。それから7年。この制度が何をもたらしたか、導入にあたっての消費者庁の検討会で委員も務めた消費生活コンサルタント、森田満樹さんにききました。

 もりた・まき 消費生活コンサルタント。一般社団法人「Food Communication Compass」(略称:FOOCOM)代表。機能性表示食品制度導入にあたっては、消費者庁の検討会委員を務めた。

 ――なぜ、機能性表示食品制度がつくられたのでしょうか。

 この政策は、アベノミクスの第3の矢、規制緩和による経済成長戦略の一つです。私は講演会などでこの制度を説明する時に必ず、政治主導であっという間に設立された経緯や、消費者の利益のためというよりも経済のための制度であるとお話ししています。

 ――特定保健用食品(トクホ)は1件ずつ審査して国が許可していたのに対し、届け出だけで機能性表示が可能となって、大幅に規制が緩和されました。

 トクホは、許可にあたって製品そのものを人間に投与した試験が必要ですし、生鮮食品が認められたことはありませんでした。これに対し、機能性表示食品ではヒト試験を行わなくても、機能性に関与する成分の文献評価でよいとされました。また生鮮食品も対象に含めました。

 ――その後も規制改革会議は規制緩和のため運用への注文をつけました。

 届け出に使えるデータの種類を広げ、届け出書類を簡略化し、生鮮食品に関しては届け出しやすいよう特例が認められました。今年も、一定の条件を満たす案件については業界団体による届け出事前確認を消費者庁が認め、同庁での確認業務は簡素化することにしました。今年度中にはスタートする予定です。

市場規模4500億円、トクホ上回る推計

 ――事業者にとって好都合な条件整備がさらに進んでいるのですね。届け出は年々増加しています。

 消費者庁が公表した届け出数は撤回済みのものを除いて約5千件。21年度の1年間で1400件超の届け出が公表されました。約2600点の商品が販売中で、市場規模は4500億円と推計され、トクホの約3千億円を上回ると言われています。

 機能性表示食品制度によって、健康食品市場は大きく拡大し、消費者の選択の幅も広がったとは言えます。ある意味、政策の狙い通りでした。

 ――消費者の立場から見るとどうでしょう。

 大きく二つの問題点を指摘したいと思います。

 まず、制度設計。事業者は機…

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